今国会で必ずTPP批准阻止 舟山康江に聞く

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 私は、7月の参議院選挙で、TPPを最大の争点として訴えてきました。それは、米を中心とする東北の農業に大きな影響が及ぶことと、農業以外でも地域社会や医療の問題などに大きなダメージがあるからです。
 自民党など与党は、選挙でアベノミクスの是非を掲げていました。東北地方は、競争と効率化、規制緩和をあおるアベノミクスの恩恵が最も行き渡りにくいところです。
 農業とTPP問題を全面的に争点化したこと、東北の人々が「このままではいけない」と立ち上がり、声をあげてたたかってくれたことが、東北5県での野党統一候補の勝利につながったと思います。

【今の流れを変える】

 国会の現状は、残念ながら与党が数で圧倒しています。数の力にまかせた乱暴な政治を止め、しっかり議論できる国会にするためには、衆議院選挙でも、野党の共闘が必要だと思います。共通の課題で力を合わせて、今の流れを変えることが求められています。
 TPPが成立してしまうと、国の違いや主権、独自性や多様性をすべて無視して、グローバルスタンダードという共通のルールで物事が決められてしまいます。世界をまたにかけて活動する多国籍企業のためのルールづくりです。こうして企業の側の利益のために、国民の生活が犠牲になることが最大の問題です。

【地域をつくる役割】

 農業分野でいうと、アメリカのアグリビジネスが輸出をしやすくなるよう関税を下げ、「科学的根拠」の名の下に、食の安全基準も下げていくということを意味します。
 農業は単に食料を供給するだけでなく、環境守り、地域社会をつくるという役割があります。とくに水田農業は、共同の力を必要とします。だからこそ、地域の人が住んで集落が形成されて、農業に付随するお祭りや伝統文化を守り、育んできたのです。そこには効率化や一律的な規模拡大とは相容れません。
 また、食料は、安全保障の要です。私も国会で取り上げましたが、欧米では、農家の所得に対して戦略的に再生可能な水準を保障しているわけです。規模の大小にかかわらず、農家への支援が必要です。国連も推進し、世界の流れになっている家族農業や協同組合の役割がもっと評価されて当然でしょう。

【制度を成熟させて】

 民主党時代の戸別所得補償は、私が政務官のときにつくったものです。農業の多面的役割を考えたとき、本来ならば生産費を賄える価格を保障すべきです。しかし、国際価格が安い方向にいってしまうために、農業の多面的役割については価格に反映できていません。そこで行政が補てんし、再生可能な、つまり生産費を補償することによって多面的な役割が守れるのです。
 とりあえず戸別所得補償制度を復活して、入り口は不足払いだとしても、今後、環境・生物多様性保全、中山間地支払いなどの要素を加味していって制度を成熟させていくべきだと思います。
 今国会では、TPPの批准をなんとしても阻止することが求められています。国民すべてに関わる問題として、引き続き、運動を継続していただきたい。あきらめずに、自分の思いを周りの人たちに伝えて、運動を広げてください。私たちも国会で批准阻止に全力をあげます。

 2016年10月24日 農民運動全国連合会(農民連)発行 『農民』記事より

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